幸せの【根っこ】

それぞれの価値観で誰だって幸せになれる。はてなブログ掲載中 https://yuuuuki.hatenablog.jp/ 日々の出会い、経験、気づきを思いのまま綴っています。 ポジティブ思考な普通の会社員。趣味はグルメ、ワイン、ミスチル鑑賞です⭐︎

経験しないでいいこと

みなさんにとって幸せって何ですか?

 

何って聞かれてもそんなのたくさんあるし、尚更”ひとつあげてみて”って言われても難しいし、そもそも今”幸せじゃないし”と思う方も少なくともいらっしゃると思います。

何気ない日々の中で、ささやかな気づきや考え方、ちょっとした幸せなこと、などを呟きながらブログを綴ってます。

確かに伝わって誰かの気持ちが少しでも【ほんわか】してもらうことができたなら、

それでいいと思ってます。

一人で悩むことが多かった自分だから、たくさんの事に気づけた。

そんなブログです。空いた時間とかで構わないのでいつでも気軽に読んで頂けたら嬉しいです。

 

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経験しないでいいこと】

ある女性から救ってもらった”

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高校三年生の夏、部活を引退してバイトを始めることにした。

 

それはもちろん付き合っていた彼女といろんな場所に行くためにお金が欲しかった。

 

僕は某ちゃんぽんチェーンの店で接客と調理をしていた。

 

バイト代で稼いだお金は好きなことに使えると思っていた。

 

しかし現状は違った。

 

僕の家はアパートで、7人家族。

 

 

≪ ある日 ≫

 

お母さんが家から出ていく。僅かな家の貯金、50万円を持っていなくなっていた。

 

≪ 1週間後 ≫

お父さんが小さな子ども(2歳と5歳)を引き取り、家から出ていった。

学校から帰ると荷物がなかった。

 

≪1か月後≫

姉が結婚で、家から出て行く。

「ごめんね」と。 

 

 

家には僕と、妹の二人だけになった。

妹は中学3年生で受験も控えていた。

家からお金も、両親も、心の支えもなくなっていた。

 

 

バイト代は、全部家の生活費に充てることになっていた。

 

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学校が終わったらバイトへ。夕方のシフトで21時30分あがり、学生の為それ以降は残れなかった。バイト終わり近くのスーパーで買い物をし、家に帰って急いで夕飯の準備。妹と二人でご飯を食べていた。

 

「またチャーハン?」

自分「美味しいよ!ごめんね。」

 

そんな会話を毎日続けた。

 

平日働く時間が短いから、祝日は朝から夜のシフトでできるだけ長く入った。

 

それでも月のバイト代は、ほんの数万円程度で

とてもじゃないけど足らなかった。

 

バイトがない休みの日に、ばあちゃんちに行って食材を調達しに行く。自転車で片道1時間程度、そんなにきつくはなかった。行き帰りで、約3,000円分だろうか、それ以上か。むしろ時給計算にするとそれくらい、きつくなかった。

 

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(車で行くと早いのに、自転車って遠いなぁ。。)

やっと着いた。

 

 

自分「ばぁちゃんごめんね。もらっていっていい??」

 

ばぁちゃん「体壊してないかい?何でも持っていきなさい。でも、あまり重たくならないようにしないと帰り危ないからね」

 

自分「大丈夫!ありがとう。」

 

荷台にお米を5kgのせ、前のカゴには卵・玉葱・人参をたくさん乗せた。

チャーハンの材料はすべてここから作っていた。ありがたいタダ飯だった。

荷物を積み込んだら特にゆっくりすることもなく、妹の待つすぐ家に帰る。

 

これを2週間に1回くらい続けた。

この食材がなかったら、生きていくことができなかった。

 

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バイト中・・・

(プルプルプルッ)

 

自分「なに?」

 

妹「お湯がでないよ・・・」

 

自分「ちょっと待ってね!確認する」

 

ガス会社「お支払い頂いておりませんので、止めさせて頂きました」

 

自分「わかりました。すみません。」

 

その日のお風呂は入れず、台所の洗面台むかって頭を流し

体は濡れたタオルで体を拭いた。

 

自分「明日には使えるようにするからね」

 

妹「うん・・・」

 

 

次の日、出て行ったお父さんに電話をして支払いを頼んだ。

支払うお金もない、お風呂も入れないと伝えた。

その日の夜、ガスは復旧していた。

 

また違う日、電気が止まることもあった。

こんなこと続いたら、やばいかもしれない。

正直そう思っていた。でも助けを呼ぶことも誰かに相談することもできなかった。

 

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(ピーンポーンパーンポーン、ピーンポーンパーポーン)

 

学校が終わり、今日もバイト。

同じ日々が続いていた。

でも今日は僕にとっていつもとは違う日になった。 

 

Kさん「大丈夫?今日ちょっと顔色わるいよ?」

 

自分「大丈夫です!気のせいですよ」

僕はいつも通り笑顔で返した。

 

Kさん「それならいいけど、無理しないでね」

 

そのパートの女性はベテランで何十年もそこで働いていたいわゆるママみたいな存在。だけども煙草スパスパでコワモテの顔つき、茶髪。怒ると激恐。学生の僕には十分怖い存在だった。

 

≪ 休憩中 ≫

 

Kさん「なんかあったの?最近ずっと調子悪そうだよ」

 

自分「そうですか?そんなことないと思うんですが。でも最近こんなことがあって・・・」

人にはあまりプライベートなことは話さなかったが、自然と話し始めていた。 

 

家からみんなでていったこと、ガスや電気が止まったこと。食べ物もらいに自転車で往復していること。

 

Kさん「そうだったんだね。最近おかしいなって思ってたんだよ。大変な思いをしてたんだね。きつかったやろ?辛かったよね。」

 

営業用の白飯と明太子のご飯を持ってきて、こっそりもってきてくれた。

 

自分「あっ、でもこれ・・(お金払っていない)」

 

Kさん「いいんだよ!たくさん食べないと倒れちゃうよ」

 

嬉しかった。

人の温かみに触れ、ちょっと泣きそうになっていた。

 

ご飯食べ終わった頃にKさんが隣にきた。

 

Kさん「本当に大丈夫?無理しないでね。妹さんもいるんだし、あなたが倒れたら大変だよ。あなただけが頼りなんでしょ。何かできることあったら言ってね!

 

自分「はい!ありがとうございます」

 

自分「僕ですね・・・・

 

≪ここからだった。これまで通りいつも通りに終わるはずだった。≫

 

自分「僕ですね、なんでも経験だって思ってます!これも将来に役立つ何かの経験だって思ってますので、辛くないです、きつくないです!だから大丈夫です!」

 

Kさん「・・・・」

 

Kさん「・・あのね、私の考え方聞いてくれる?」

 

Kさん「私はね、経験しなくていいこともあると思う。ガスがとまる、電気がとまる、家族が家から出ていく。あなたにはその経験は必要ないんじゃないかな。自分の子どもにそんなこと経験させたくない。そんな風に思うの。今経験していることは、本当はね経験しないでいい事なんだと思う。」

 

Kさん「無理しないってわかる?つらかっただろ?きつかったよね。どんどん心が苦しくなっちゃうよ。だからね、辛い時は辛いって、きつい時はきついってちゃんと言った方がいいよ。それが一番、無理をしないってことだよ」

 

僕は驚きと、何か悲しみのようなものに浸っていた。今までの事が一瞬で巡り巡って思い起こされていた。涙が止まらない。子どもが親に泣きじゃくるように小さく声に出して泣いていた。

 

家族が出て行っても家の事で何かあってもどんなに辛くても、負けたくなかった。涙だけは流したことがなかった。

 

そんな気持ちを一瞬で解きほどいてくれた。このKさんの言葉に心を救われた。今日を境に見える景色がガラっと変わっていた。いつの間にか重荷になっていた肩の荷物もすっきり軽くなっていた。

 

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(ピーンポーンパーンポーン、ピーンポーンパーポーン)

学校が終わり、今日もバイト。相変わらず同じ日々が続いていた。

 

思い返せば””先生と二者面談を家でしたよな””学校でよくね?””とか笑える話も多くあったが、その時には友達ともそんな話もできていたので、本当の意味できつくしいろいろ考えることもなくなっていた。

 

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僕は高校卒業して就職先の寮へ入ることになった。

家は祖母に引き払ってもらい、妹は祖母と一緒に実家へ帰った。

妹は、受験をあきらめ中卒で働きに出ることにした。

 

【経験しないでいいこと】

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あんなに泣いたこともなかったなぁと思って、今でもあのKさん言葉は忘れることはありません。倒れそうな自分、自然と笑顔がなくなっていく自分、そんな自分はその一言で救われました。今の時代、人の為に、自分の時間を使って、大切な人の事のように、寄り添える人っているのかな?私の周りでも、できるだけ触らぬように、とかで比較的少なくなっているように思えてくる。

 

これって幸せなことなんだと思う。

そのKさんがいなかったら今の人生はなかったと思う。

 

だから感謝しなくちゃ。

 

バイト仲間がいてくれたこと。

学校の友達がいつも支えてくれたこと。

彼女がいてくれたこと。 

Kさんが、勇気をもって声をかけてくれたこと、心を救ってくれたこと。

 

今でも忘れない。

【あの時の幸せだったこと】

 

もうその店舗はなくなってその人はまたどこで働いているか

わからないけど、会えたら伝えたい。

「ありがとう」

 

 

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過去UPの記事の中で、”人”について綴っています。もしかしたら、このことに気づけたのは、このKさんがいてくれたからかもしれません。よかった寄ってみて頂けたら嬉しいです。

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