一房のぶどう ~おんなの子の”いのち”が教えてくれたひとつの事~
みなさんにとって幸せとは何ですか?
何って聞かれてもそんなのたくさんあるし、尚更”ひとつあげてみて”って言われても難しいし、そもそも今”幸せじゃないし”と思う方も少なくともいらっしゃると思います。
何気ない日々の中で、ささやかな気づきや考え方、幸せなこと、などを呟きながら。。
確かに伝わって誰かの気持ちが少しでも【ほんわか】してもらうことができたなら、
それでいいと思ってます。一人で悩むことが多かった自分だから、たくさんの事に気づけた。そんなブログです。空いた時間で構わないのでふらっと立ち寄って頂けたら嬉しいです。
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一房のぶどう
たかが一房、されど一房、かえがえの無い一房
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何年か前の話・・・
医師「完全治癒は難しく、女の子の命はあと・・・」
医師「残念なことですが、もう・・・。お嬢さんが欲しいものがあったら、何でも食べさせてあげて下さい」
その言葉に、両親が泣き崩れたのは言うまでもない。しかし、何も知らない娘を前にしては悲しい顔も出来ず、必死に看病を続けるしかなかった。
そして数日後のこと、
両親「何かたべたいものある?」
女の子「ぶどうが食べたい!!!!!」
お父さん「分かった!買ってくるからな!待っててな!!!!」
父親は娘の願いを叶えてやろうと買いに出かけた。
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ぶどうを買って早く娘を喜ばせたいという一心で出かけた父親でしたが、なかなかぶどうを見つけることができません。何件も果物屋を尋ねてみたものの、季節外れということもあって、どこにも置いていなかった。
「ぶどう・・・ないかもしれない・・・」
探しているうちに、無いと断れ続けていくうちに、”諦めようとする自分””諦めてはいけない自分”が何度も行き来していた。しかし後わずかしか生きられない娘のことを思うと、どうしてもぶどうを食べさせてやりたい。
「デパートならあるかもしれない!!」
もしかしてと考え、とあるデパートのフルーツ売り場に行ってみる。
父親「ぶどう・・ぶどう・・・・。ぶどう、あった!!」
やっとのことで見つけたぶどう。早速買って、娘に届けたいと思っていた。
しかし・・・
「・・・買えない」
そこには【 桐の箱に入った巨峰 】が一箱だけ売ってあった。
「すごく立派だ。だけど○万円・・・お金がない」
入院費用も重なっていて、ぶどう1箱に○万円という金額を支払うことは到底できなかった。父親はガックリと肩を落とした。
娘「ぶどうが食べたい!!!!!」
あの時のことを思い出し、父親は目に涙を浮かべていた。
しばらくしても、その”一箱のぶどう””の前から動くことができずただただ立ちすくんでいた。
売り場の店員「どうかなさいましたか?お気に入りのものはございませんか?」
笑顔で、父親に声をかけてきた。
父親は意を決して
「この箱の中のぶどうを”一房”わけてもらえないだろうか。」と問い掛けた。
娘の病気のこと、余命が短いこと、ぶどうを食べたいと言っていること。気がついたらその全てを、熱心に話しをしていた。
父親「きっと無理だ・・これは桐箱の商品。分けて売ってくれるなんて聞いたことない、不可能だ」
店員「・・・・(少し考えて)。少々お待ち頂けますか?」
店員はそう言いその場を離れて、しばらくして戻ってきた。
店員は桐箱を開けて、作業している。
父親「えっ・・!?」
よく見てみると、桐箱を開けてぶどうの房を切り分けをしているのだ。立派な巨峰を小さな”一房のブドウ”にして、綺麗に包装をしたあと、笑顔で父親に渡した。
店員「こちらでよろしいですか?」
父親「・・・・・。」
しばらく言葉にすることができなかった。
しばらくして、
父親「本当にありがとう。」
父親はおさえる涙を少しこぼしながら、そのデパートをでた。
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娘「美味しいね!美味しいよ! ありがとう、お父さん」
父親、母親、そして娘の家族は今までにない一番の幸せの時間を過ごした。
そのあと、女の子は笑顔で旅立っていった。
ある日
両親は娘が旅立ってからも””あのデパートの店員”への感謝の気持ちが溢れてきて二人はそのデパートに向けてお礼の手紙を送った。
「(中略)あの時の店員さん、本当にありがとう。あんな立派なぶどうを一房分けて頂き娘は本当に幸せそうに食べることができました。そして娘は無事、笑顔で天国へ行くことができました。それもあの時対応してくださったあの店員さんのお陰です。感謝の思いで一杯です。本当にありがとう。」
デパートの青果コーナーへ届くも、責任者はこのことを知らなかった。従業員へ聞き込みしていると、ある女性店員が申し訳なさそうに謝罪をしてきた。
責任者「君、このこと知らないか?」
店員「申し訳ありません、勝手に私の判断でお売りしました」
責任者「それはいいんだ。事情を聞かせてくれないか?」
店員は、責任者に「父親がどうしても困っている様子だった、娘さんのことを聞いて私も何かしてあげたいと思った」と語った。
そして”残ったぶどう”はどうしたのかと聞かれると、
店員「残ったぶどうは差額分を支払い、私が購入させて頂きました」
その”一房のぶどう””はの一つの家族を幸せにした最高の対応だったと
デパート中に伝えられた
【一房のぶどう】
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大切な人が居るとき、誰でも父親のように動くと思います。しかし、この店員のように寄り添って力になってくれる人はどのくらいいるだろう。マニュアルにはないこの対応は、その家族の未来をとても幸せなものにしました。それはそれは消えることのない宝物であり、まさにその店員の間に産まれた””仕合わせ”であったんだろうと私は思います。
私達は、当たり前に”ものを買う”そして食べる。この一房のぶどうにはそんな思いがあるんだと思うと、””この一房のぶどう””に会った時にもっといろんなことに感謝をしないといけないな、と何度も振り返ることができるだろうと思います。
この暖かくて優しい物語も、私の中の宝物になりました。
たった一房のぶどうは、娘のかけがえのない一房で
大切な想い出。
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過去の記事を添付してます。
もし良ければお時間あるときにでも、みていって下さい。